竿の長さと飛距離ってどう関係あるのかな?
と疑問をお持ちの投げ釣り初心者の方に読んでほしい内容です。
私はサビキ釣、投げサビキ、カゴ釣りをメインでやっていて、もっと遠くへ飛ばしたいという欲求をいつも持っています。まだまだ理想の投げ方には届かないのでトライ&エラーの繰り返しです。
投げ始めた頃は飛ばせたことが嬉しいものですが、何度かやってるうちに冒頭のような疑問を持ち、周りの釣り師の方たちの投げ方やタックルをみて考え、得た知識の中から、
投げ釣りで基本的な『竿の長さと投出す角度』の2つ
に絞って詳しく解説していきます。
まずこの記事の結論です。
- 投げ出す角度は40°~45°が最も飛距離が出る
- 竿の長さに比例して投出し速度が速くなり飛距離が出やすい
一般的にこのように解釈して下さい。実際は風の影響や竿の特性によって距離は異なってきますので、状況によって更に考えていく必要がありますが、まずは上記が基本です。
この結果を元にして実際に投げる時に飛距離を延ばすために改善するポイントもまとめました。
- ストレートに飛んで飛距離が延びない時はリリースポイントを少し遅くする
- 山なりに飛んで飛距離が延びない時はリリースポイントを少し早くする
- 竿先の投げ出し速度を速くする
扱える範囲で長い竿を使う
スイングスピードを上げる
これらの内容を詳しくご紹介します。
簡単な物理で比較する前提条件
タイトルにあるように簡単な物理を使って検証します。
実際の現象を事細かく数式にすると複雑になりがちです。今回調べたいのは竿の長さと投出す角度での飛距離なので、その他の条件は除いて考えるように前提条件を決めました。
①重力のみ考慮して他の抵抗(空気・竿・リールなど)は考えない
②竿のしなりは考えない
こうする事で基本はおさえつつ、シンプルで感覚的にも分かり易い内容になります。抵抗などを考慮していないので実際の飛距離より長くなりますのでその点はご留意下さい。
では具体的に考えていきます。
飛距離が延びない原因の一つ
結構ありがちな原因の1つ。
これんな時は、だいたいストレートに飛んで行ってます。
ストレートに飛ばすと飛距離は延びません。
ボールを使ってイメージする
例えやすい野球でイメージしていきます。
ボールを投げるとき、腕を振って投げますよね。
その中でも力いっぱい投げようとすると、大きく振りかぶって、足を上げて体重移動加え体全体を使って大きな円運動で投げます。
ピッチャーの投球の場合
速い球を投げる時、キャッチャーまで最短距離で届くよう、ストレート(直線)で投げます。
これだと、キャッチャーまでは十分でも、ボールに働く重力加速度(以後重力)があるので、その後はすぐに落ちて飛距離は伸びません。
外野からの遠投の場合
飛距離をだすにはどうするのか?
答えは簡単。
遠くにいるキャッチャーまで投げる時、ボールが届くよう山なりで投げます。
これは山なりに投げる事で重力があるにせよ、山の高さ分、上がって落ちてくるまで滞空時間が稼げるので飛距離が延びます。
この考えは投げ釣りでも同じです。
ではこの内容を物理的に考えていきます。
竿先の投げ出し角は40°~ 45°が最も良い
と疑問に思う所を考えていきましょう。
ボールを上に投げると重力が常に働いているのそのうち落下します。
山なりに投げた時、前提条件から重力のみ働くと考えると、下の絵のような山の頂点を中心に左右対象となる放物運動をします。
この時、最初の投げ出し角度が変わると飛距離がどう変わってくるのかを考えてみましょう。
投げ出し角度の比較
投げ出し角度の違いで比較できるように条件を決めます。
・初速:100km/h
・投げ出し角度:30°、45°、60°
計算した結果、3つの角度を比較すると下のグラフのようになります。
飛距離は45°>30°=60°という結果
計算は横軸の飛距離をX、縦軸の高さをYと置いた時に、
下記の様に考えています。
ただし、実際に釣りする時の事を考えると、図とは若干異なります。
高低差を考えた投げ出し角度の比較
投げ釣りは竿を使って投げて、海へ仕掛を着水させます。ということを考えると、投げ出す際の竿の高さと着水する海面高さに高低差が生まれます。
この高低差が飛距離に意外と関係します。
一つ例に取ってみてみます。
・投げ出し位置から海面まで高低差6m
地面から海面までの高さが2m
地面から高さ4mの位置で投げ出す
計算すると下図のように結果が少し変わってきます。
飛距離は45°>30°>60°という結果
先ほどとは結果が変わりましたね。
30°>60°となったのは30°の方が前に飛ばす速度が速い分距離が延びたという事ですね。この事から高低差があると角度は45°以下の方が飛距離が延びるという事が分かります。
一方で、45°以下の飛距離つについてはどうかというと、
45°~40°でほとんど変わらない事がわかりました。
この結果から
ちなみに飛距離が投げ出し角30°>45°となるのがどのあたりか気になったのでみてみました。
高低差30m程あってようやく逆転する結果でした。ちょっと現実的ではないですね。
高低差にも関係してきますが、竿の長さが飛距離についどう影響してくるのか、次に見ていきます。
竿は長ければ長いほど飛距離は延びる
というところを計算して明らかにします。
竿の長さで距離を比較
竿の長さを変えて比較していきます。計算する条件は下記の通り。
・初速:100km/h
・投げ出し角度:45°
・投げ出し高さ:3.0m、5.0m、7.0m
人の高さ:1.5m
竿の長さ:1.5m、3.5m、5.5m
計算した結果をグラフにしました。
程飛距離は 投げ出し高さ3.0m<5.0m<7.0m で延びていることが分かりますね。
つまり、竿の長さが投げ出し高さに加算されていくので、竿が長い方が飛距離が延びる要因の1つになります。
ただ、これは先ほど計算した高低差の差分しか距離が延びていません。
竿先の長さと速度で比較
竿が長い利点はこれだけではありません。
短い竿と長い竿を同じように振った時、竿先の速度に差が出てきます。
どういう事かというと、下の絵の様に竿の長さによって竿先が動く半径が異なります。
上の絵から竿を振部分を重ねたものが下の絵です。比べててみると、短い/長い竿で同じ角度を振った時に進む円弧の長さは長い竿の方がより長く移動している事が分かります。
同じ時間で長い距離を移動するにはより速く移動しなくてはならいため、長い竿の方が速度が速い事が分かります。
実際にどのくらいの差が出てくるのか、計算してみていきます。
竿の長さと速度からの飛距離の差は?
人が投げ釣りをする時の手の軌跡を円周上の動きと考えると、円周上の速度については以下の様に求められます。
角速度は聞き慣れないかもしれませんが、1秒間に回転できる角度とお考え下さい。
この式から角速度を投げる時の手を振るスピード、半径を竿の長さとした場合、それぞれに比例して速度は速くなります。
では、竿の長さと速度でどれくらい飛距離が変わるのか比較するため、以下の条件で計算してみます。
竿の長さ違いを比較したいため、角速度は一定としています。
・角速度:7.94rad/sec
3.5mの竿先速度が100km/hとなる速さ
・投げ出し角度:45°
・投げ出し高さ:3.0m、5.0m、7.0m
竿の長さ:1.5m、3.5m、5.5m
人の高さ:1.5m
計算した結果をグラフにしました。
どうでしょう。先ほど高さを補正した結果と大きくかわってきました。
何という事でしょう。
- 竿の長さ1.5m:飛距離18m
- 竿の長さ3.5m:飛距離84m
- 竿の長さ5.5m:飛距離200m
理論的には100m以上も差が開いて来るという事が分かりました。
(実際にはここに様々な抵抗が入って来るので距離はその分短くなります。)
竿の長さが長くなると飛距離が大きく延びる要因
更に疑問がでてきました。
分かり易くするためにグラフに着水までの時間の軌跡を入れてみました。
竿の長さによって投げ出しの初速が異なるので
- 着水までの時間が延びる
- 同じ時間でも進んむ距離が延びる
2つの相乗効果によって、より飛距離が延びます。
私も実際に計算して、予想していたより大きな差にびっくり。新たな発見でした。
まとめ
最後に、本記事のまとめです。
- ストレートに飛ばすと飛距離は伸びない
ストレートに飛ばすとすぐに落下するので距離が延びない - 竿先の投げ出し角は45°~40°が最も良い
角度をつけ過ぎると前に飛ばす速度が低く距離が出にくい - 竿は長ければ長いほど飛距離は延びる
竿先の速度は長い竿の方が出しやすい
着水までの時間も延びる為、より距離を延ばしやすい
何となくわかってた事かもしれませんが、はっきりしたんじゃないでしょうか?
冒頭にも書きましたが、これらを踏まえて飛距離を出すための改善ポイントは
- ストレートに飛んで飛距離が延びない時はリリースポイントを少し遅くする
- 山なりに飛んで飛距離が延びない時はリリースポイントを少し早くする
- 竿先の投げ出し速度を速くする
扱える範囲で長い竿を使う
スイングスピードを上げる
今回は竿のしなりや色々な抵抗などを考慮せずに書いてきたので、実際に遠投した距離より長いはずです。
実際の飛距離についてはご自身のタックルで試しながら確認していってください。
投げ釣りの飛距離については続けてこちらの記事もご参考に
⇨ 投げ釣りでの空気抵抗と飛距離について
最後まで読んで頂きありがとうございました。
お子さんへ投げ方の教え方にお困りでしたらこちらの記事がおすすめです。
投げ釣りの投げ方を子供に教える時のポイントを詳しく解説します